オードリー若林のゆるくてちょっと深いエッセイをうつ病患者が読んだら。〜卑屈なんだけど素直なんだよね〜

彼はうつ病だったわけではないけれど

うつ病気質っぽいところがあると思う。(人の目を強烈に気にするところとか)

M1グランプリでオードリーが2位をとってから
若林が社会人としてもがきながら前進していく話。

「芸能界がきびしい」とはよく聞くものの、いったいどんなふうに苦しいのだ?と思ったことがあったが、なんとなく読んでみると感じ取れるものがあった。

顔は思い出せるだろうか?


あのピンクの春日じゃないほうです。

「若林なんて、、、」と正直思っていたけれど、
Amazonでまさかのベストセラーだったものですから読んでみました。
(うつ病になってから本を読みだした私は、ベストセラーが結構入り口だったりするんです笑)

読んでみると、超上から目線ですが「ちゃんと描かれている」と思ってしまった。
文学的に才能があるの?って思うと、そりゃプロの作家さんたちの言葉の扱い方とは雲泥の差と言われてしまうのだろうけれど、ちゃんと伝わってくるんです。

読めば読むほど、若林って真剣なんだ・・・って思った。

なるほど、説明にこんな文章も。
雑誌『ダ・ヴィンチ』読者支持第一位
これは、適当にやっている人がもらえない称号だよな。

こちらです。⇩ 

完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 (角川文庫)
若林 正恭
KADOKAWA/メディアファクトリー (2015-12-25)
売り上げランキング: 291

ざっくりあらすじ

本の内容は、2008年彼がM1で成功を収めてからの社会人1年目。
ともかく激務が続きながら、世の中の流れに抵抗感を抱きながらの社会人2年目、3年目。
4年目には少しずつ流れがつかめてきて、、、なんと芸歴12年目に突入。

芸人の淡々とした日々が描かれているのだけれど、あきない。
うーん、どっちかていうとネガティブな文章が多いのだけど、「超正直に素直に」書いてくれているので、なんだか爽やかさもある。笑

芸人じゃないんですけど、
「あぁ、わかるなぁ・・・」と思ってしまう共感どころが多いのです。

若林の卑屈さと自意識過剰さ〜うつ病患者と似てる?〜

彼の性格は、なんといっても「卑屈」。

そして自分でも言っていますが「自意識過剰」。

劣等感の優越感は表裏一体ですから、
自己卑下をしている人、つまり卑屈な人って、ものすごく自意識が高いんですよね。

わたしもうつ病になったばかりのころは、家族の目をはじめ、職場関係、友人、近所の人たちにどう思われているのか?が気になってしょうがなくて、家から一歩も出ることができませんでした。

本当なら、ほとんどの人が私になんて注目していないのに。

そんな時、彼の言葉がなんかしっくりくるんです。笑
自意識過剰だなぁ。とよく言われる。
そう。その通りだ。誰もぼくのことなんか見ていない。それはわかっているのだ。だがしかし、だ。
ぼくなのだ。ぼくが!見ているのだ!
p047 参照
この後の彼の言葉がたまらない。
例えば、スタバでipadを横に置きながら、『IQ84』を読んでいる女性を見て、「うわっ!」と思ってしまう。(中略)
最低だ。良い人間になりたい。(中略)
そのタイ料理の帰り道、ツタヤのレジでAVを3本借りるために会計をしていたぼくに「AVは借りれるのかい!!」と友人は言った。
借りられるだよ。ぼくは男がAVを借りるという行為を肯定している。
あぁ、こういう気持ちになるまで、矢印の方向が変わっていくまで、わたしは1年ぐらい時間がかかったなぁ・・・と。

うつ病が苦しすぎた時、
親友が4時間も一緒にいるのに「最近どう?」とわたしに聞かなかった時、「あぁ、親友はわたしがうつ病なのを気持ち悪いって思ってるんだ。偏見だ。こんなやつ親友なんかじゃない。」って思ってしまう。
最低だ。良い人間になりたい。
でも、数ヶ月した時、自分が自分よりもひどい精神病をわずらっている人に声をかけられなかった時、はっと気付かされた。
「どんなにしてあげたくても、できない時っていうのがあるんだ」と。
その時、うつ病患者に優しくできない人、どうしても距離をとってしまう人に対して、わたしは小さな肯定感が生まれた気がします。


いまのわたしが強烈に共感させられた一言

芸能界という名の社会にすこしずつ慣れていった若林。
不慣れというのは、その社会の文化や体裁に体や心が馴染まない状態。

最初は強烈と拒否反応を起こしていた彼。
いちいち抵抗したり、反発する。
そんな彼が、少しずつ少しずつ馴染んで、
その社会を受け入れられるようになっていく姿が出てきます。
そして、彼は社会だけでなく、卑屈でサイテーな自分のことも受け入れていっています。

わたしも病気が辛かった時は、どんなことでも心に引っかかっていた気がします。
たとえば、ごはんが食べられなかった時、うまく眠れなかった時、外に出られなかった時、テレビなんて見られなくて、人の話ている話が全部自分を責めているように感じられた時、いちいち気になった。いちいち傷ついた。そういう自分が一番腹が立った。

この本の中で一番こころに残った文章があります。
クソくらえだなんて思ってごめんなさい。
(中略)
憤りの割合が極端に減った。
憤りがない分、自意識と向き合う時間も減った。

(中略)
散歩しながらニルヴァーナを聞いても、公園のベンチで『ヒミズ』を読んでも以前のように心がざわつかない。p164参照
この状態、ものすごく共感できます。

病気の症状がともかく辛い急性期を経て、
アップダウンの激しい回復期を経て、
あたらしい職場を見つけ、すこしずつ気分の浮き沈みが減ってきた再発予防期。

うつ病患者の方のブログを見ていると、だいたい職場復帰されたり、忙しくなってくるとブログを書かない人が増えてきます。

正直、前みたいに言葉が出てこなくなるんですよね。
前みたいに、心がざわつかないんです。

ざわつかない代わりにぼくの心の真ん中には「穏やか」が横たわっている。
心の健康状態は良い。 
だけど空虚だ。
大好きなおもちゃを取り上げられた子どものような気分だ。
みんなの言う通りではあったが、みんなの言う通りの世界は面白くもなんともない。
p164−165参照
心がともかくざわついてざわついて苦しかったあの時。
ともかく静かにして欲しかった。
でも、いつの間にか、わたしの心も「穏やか」がやってきていた。

これを読んだとき、「あぁ、一緒だ」って思ってざわってした。

ないものネダリじゃなくて、いまを生きる

うつ病の荒れ果てたこころは、あの時じゃないと味わえないんだと思った。
あの小説を読んで、あんなにも心が慰められてしまったのは、あの時のわたしがうつ病で相当やられていたからだ。

きっと、いまの私が読んでも、涙はでない。

うつ病が辛い時にしか見えない景色ってあるんだと思う。
そして、うつ病がちょっとよくなってきた時にしか見えない愛情だったり、言葉。
ちょっと社会復帰をして、失敗して、悔しくて怖くなった時にしか感じられない温もり。

きっと、このオードリー若林のエッセイも、いまのわたしが読んだから、こういうふうに響いたんだろうなって思います。

おわりに

というわけで、こちらの本は、急性期のときに読むのはおすすめしません。
うつ病と診断されたばかりの方よりは、ちょっと浮いてきたかな?と感じられている人が良いのかなと個人的に思います。

こちらの本、全体的に、どんより卑屈、ちょっとお笑い、ところどころ深いっていう印象。ひっぱられてしまうかもしれませんから。

ある程度、自分ができてきて、どっしりしてきたら良いかもです。

彼の年齢は37歳。
ちょっとお兄ちゃんが世間話してくれてるって感じがした。笑

「あ〜わかるよ〜」ってね。



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ダ・ヴィンチ 2016年2月号
ダ・ヴィンチ 2016年2月号
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KADOKAWA/メディアファクトリー (2016-01-06)


どうでもいいのですが、これ読んでから、テレビみると、目がめっちゃいく。笑



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